「話しをするだけで、長年悩んできた問題が解決するの?」
「自分の問題だから、他人に話しても何も変わらない」
とカウンセリングに疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。そこでカウンセリングにはどのような効果があるかについて解説します。
1.話すとすっきりする。
日常生活の中で抱える悩みや困りごとを1人で悩んでいると、解決の出口が見つからず、堂々めぐりしてしまうことはありませんか?それが繰り返されると、糸がどんどんからまっていくような状態となり、こころの中は不快さでいっぱいになり、苦しくなっていきます。そんな時にカウンセラーに話しをすると、それだけで気持ちがすっきりして、不快さや苦しみが解消されることがあります。このことをカタルシス効果といいます。例えば家族だんらんや職場の仲間と飲みに行って話しをして、気持ちがすっきりしたという経験はありませんか。人は、悩みや困りごとを1人でためこむよりも、人に話しをして相手に受け止めてもらうことで、気持ちがすっきりするものなのです。
2.自分の悩みや問題を整理しやすくなる。
カウンセラーに悩みや困りごとを話し、気持ちがすっきりすると、不快な感情によるこころの負担が軽くなるため、それまでいろんなことがぐちゃぐちゃにからまっていて、何から手をつけていいか分からなかった問題に取りくむ余裕がでてきます。1人で悩んでいる時には、問題にのめり込んでしまい、一体自分が何に悩んでいるのかも分からない状態になりやすいのです。カウンセリングの基本的技法に「繰り返し」というものがありますが、それはクライエントさんの話している内容や感情について、そのまま繰り返して伝えるだけです。しかし自分1人で悩んでいたことを、改めてカウンセラーから客観的に伝えられると、「自分はそのような問題について悩んでいたのか」「そんな気持ちでいたのか」と、自分のこころの中身について、一旦距離を置いて考えられるようになるため、問題の整理がしやすくなります。
3.自分の悩みや問題を違った視点から考えることができる。
「いつも同じことで悩んでいる」「考えても考えても結局解決できない」といった方、それは考え方や感じ方、悩みを解決しようとする方法が、あなた独自のものだからかもしれません。例えば料理を作るにしても、食べ物を扱う方法が「切る」「焼く」だけしかできな人と、「切る」「焼く」「煮る」「揚げる」「蒸す」ができる人では、作れる料理のレパートリーは格段に違いますよね。それと同じように、カウンセリングの訓練を積み、カウンセリング経験豊富なカウンセラーは、こころの問題について多くの知識や情報を持ち、様々なこころの問題の扱いにも慣れています。クライエントさんがこれまで悩んできた問題を、カウンセラーの視点を加えてみることで、解決の糸口が見つかるかもしれません。
4.自分の悩みや問題から逃げずに向きあうことができる。
自分の悩みや問題について考えつづけていくことは、そんなに楽なことではありません。人のこころは、不快なことや苦しいことは、こころの中から締めだすという性質をもっています。例えばお酒を飲む、過食するなどして、できるだけ悩みや問題について考えないようにします。しかし困ったことに、一時的には考えなくてすみますが、悩みや問題は何も解決していないため、再び悩みはじめるのです。カウンセラーは、あなたが抱えている悩みや問題を一緒に抱えていきます。1人で難しい問題に取り組んでいると、すぐに投げ出してしまいそうですが、二人で取り組むと何とか問題に止まろうとするかもしれません。カウンセラーは、悩みや問題を解決しようとするあなた、よりよい生き方がしたいと願うあなたに寄り添い、時には悩み、時には励まし、問題の解決まで共に歩んでいきます。
5.自分に自信がつく。
カウンセラーは、クライエントさんの存在、考えや気持ちについて否定することはしません。それは「無条件の肯定的配慮」といわれるものですが、私たちが赤ちゃんに接する時の態度と似ています。私たちは、たとえ赤ちゃんが激しく泣いても、おもらしをしても、本気で怒ったりしませんよね。その存在を認め、温かい関心をもって接しますね。実はこの赤ちゃんの時の温かい体験が、人のこころの基礎となっているのです。カウンセラーは、クライエントさんの様々な考えや想い、気持ちについて肯定的に受け止めていきます。このような体験が繰り返されると、自分が本当に大切にされていると感じ、自分の存在を肯定的に思えるようになります。つまり自分に自信がつくのです。そして自分のことを信頼できると、他者のことも信頼できるようになり、お互いが信頼しあう人間関係を築きやすくなります。